今はなき三共ポリマー株式会社が熱心に取り組んでいた「1/32ファミリーカーシリーズ」の一台です。
ボックスサイドに印刷されたシリーズ。
マツダファミリアデラックス、スバル1000スーパーデラックス……今となっては貴重な、
そしてあの良き時代を感じさせるラインナップです。
ベレットの1/32キットはアリイ(旧エルエス)の2ドア・ベレGがありますが、僕は4ドアのベレが
欲しくて欲しくて仕方ありませんでした。
……このキットとは若干タイプが異なりますが、4ドアのベレは昔、親父の愛車だったからです。
このキットを見つけて手に入れるまで、15年ほどかかってしまいました。
でも、趣味は焦らずノンビリと長く続けていくもの。
いつかは……と、諦めずに探していると、こんな逸品に出会うこともあります。
ほんのちょっぴりディフォルメしてあるものの、ベレ特有の丸まっちぃ雰囲気をバッチリ
捉えたこのセンスの良さ。
車の好きな人、そして、片手の平に乗るような可愛らしい模型の大好きな人が設計したに
違いありません。
運転席にモールドされたドライバーは……スマートなレーシングドライバーなんかではありません。
そう、これは「ファミリーカーシリーズ」。頼り甲斐のありそうな、ちょっとだけ宍戸錠さんに似た
「お父さん」が再現されています。
マイカーが庶民の夢ではなく、手の届く存在になり始めた頃の、あったかいプラモデル。
もしも金型が現存するならば、是非とも再販してほしい素晴らしいシリーズのひとつです。
(文責:TAC宮本)