ニチモ“万能海底探検戦車キングシャーク”
(1967年初版)




子供の頃、田舎の雑貨屋や文房具店のプラモデルが置いてある棚をつぶさに観察していると、
不思議なキットに出くわすことがたびたびありました。
テレビで放映されている「ウルトラマン」や「サンダーバード」にも、映画館で観た「ゴジラシリーズ」などにも出てこない、
正体不明ながら不思議なカッコヨサと懐かしさのあるSFメカたち……。
これは日本のプラモデルメーカーが1960年代に独自の文化を築き上げた「メーカーオリジナルSF超兵器プラモ」の売れ残りたちでした。
鼻先に巨大なドリルの付いた地底戦車や、ジェット機のような翼の付いた万能潜水艦など、
いろいろなキットがありましたが、そんな中でも「日本オリジナルSF戦車プラモデルの最高傑作」のひとつとして、
必ずその名前が挙げられるのが、ニチモ(日本模型株式会社)の開発した“キングシャーク”です。




その箱絵には「万能海底探検戦車」の名に恥じない、各種のスペックが誇らしげに記されています。
少年時代に店頭でこれを見て、胸をときめかせた方も多いのではないでしょうか。

キャタピラによる地上走行はもちろんのこと、モーター駆動部分の水密機構によって水底も走行可能。
万が一、水底で障害物に接した場合、車体先端のセンサースティックが作動して、
車体後部にあるレスキューカプセルが射出され、水面にプカッと浮き上がる。
パラボラレーダーは360度手動回転。
ミサイルと偵察用小型無人ジェット機がスプリング発射。

……これらは、このキットを完成させると実際に操作して楽しめるギミックです。
当時の国内プラモデルメーカーは、いかにものを動かし、いかに少年達を楽しませるかということでしのぎを削っていたのです。
この綺羅星のようなギミックの数々……もはや、動く芸術!!




そして……おおお夢を忘れてツマラナイ大人になったスケールモデラーよ、ミリタリーモデラーたちよ!!
目ん玉を見開いてよ〜っく見よ! この雄々しい姿を!!

当ノスプラの客員学芸員、古典プラモデル研究の第一人者である高見敬一郎氏は
著書『プラモデルレテ 創刊号』においてこのキットの魅力に触れ、
「ニチモがスケールモデルで培ったノウハウはこのモデルに他社には見られない迫真のリアルさというものを与え(略)
恐らく海底戦車なるものが実在したとしたら旧ソ連のキャタピラー式潜水艇以上にかくありなんと思わせる説得力はニチモならではのものでしょう。
いかにも耐圧船殻風のキャビンには設計者の苦労が忍ばれ……」と書かれ、
当キットの先進性溢れるデザインとリアリティ、そのギミックの楽しさを絶賛しています。

確かにニチモは1960年代から、タミヤにひけをとらないクォリティーを誇る各種1/35AFVを発売。
また艦船キットや自動車キットでも、そのスタイリングや精密感、考証には定評のある「堅実」なメーカーでした。
そのニチモが、ギネスブック掲載可能なほどギミック満載の架空の潜水戦車を作ったならば……
まさしくSF戦車プラモの決定版となるのも道理でしょう。




キットのキャタピラは時代を反映してゴム製。
金属とプラを組み合わせた複雑なギヤボックスによって、素晴らしいギミックを実現させています。
デカールは、ニチモの海上自衛隊護衛艦の精密キットなどでもお馴染みの耐水性のものでした。

この内容ですから、なかなか子供の手に負えるシロモノではなく、
潜水時には車体全体で12箇所を注意深くグリスアップして浸水を防ぐという工作上の難しさもあって、
僕が少年時代に作ったキングシャークは一度も潜水探検に出かけることなく終わりましたが、
今だったら、ナントカうまく完成させられるんじゃなかろうか……と、キットを眺めつついつも夢を見ています。

(文責:TAC宮本)


戻る


































[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析