ヤマダ1/22 三菱JEEPJ3R
(1973年頃初版)



地味ながら、国産プラモデル創生期より長年にわたってユニークなキットを発表し続けてきたヤマダが発売した、
もっとも三菱ジープらしいジープ“J3R”です。世界統一規格とやや離れた1/22というスケールが独特です。
ヤマダは1963年頃、「自動方向転換装置付き」という楽しいギミック付きの
ランドクルーザーFJ-40やニッサンパトロールを発売。
その後1973年頃になってこのシリーズを再開するとき、
新たにJ3Rジープもラインナップに加えたらしいとのことです。
今回ご紹介するキットは、1980年頃に再販された最終バージョンで、
残念ながら昔ながらの自動方向転換装置はオミットされてしまいましたが、
堅実な設計のモーターライズ走行を取り入れてヤマダの面目を保っています。

……テレビ映画『COMBAT!』の影響なのか、少年時代からジープが大好きでした。
大人になってからは、実車のオーナーになることを夢見ていましたが、経済的な条件その他でとてもとても……。
そこで、世界中のジープのプラモデルをコレクションしたい!と思うようになりました。


しかし……皆さんご存じですか?
ジープのモデルというのは、一説によると金属製玩具なども含めて世界中で3000種類以上が確認されているそうです。
ジープ生誕50周年を過ぎて数年を経過した今では、もっともっと増えているはずです。



これじゃあ、ジープのプラモデルの総合的コレクションなんて無理だぁ……
呆然としている僕に、救いの神が現れました。
「そういうコトならば、この懐かしいキットは、チミが持っていたまへ」
……そうおっしゃって、このキットを渡してくださったのが、「プラモデルの王国」のオヤヂ博士さんだったのでした。

夢にまで見たJ3Rのかっこいいプラモデル!もう感謝感激です!




キットはブリスターパック式でタイヤやギヤボックスが同梱されています。
自動方向転換装置がなくなったとはいえ、今のキットには見られない、
複雑でガッチリとしたメタルフレームのギヤボックスの作りには感心させられます。
このギヤボックスが、可愛らしいこのジープに登坂能力30度の素晴らしい走行性能を与えています。




パーツの全容。走行重視だけではなくフォルムにも気を遣ってあり、
ボンネットを開けると簡単ながらエンジンが見えたりといったギミックも備えた優れた内容にまとまっています。




この当時、ジープのプラモデルといってもウィリスMBなのかM38なのか三菱J4なのか見当がつかない……
といったプラモデルが大量に存在したにも関わらず、
ヤマダのキットはジープの最も大きな特徴であるフロントグリルの微妙な形状などにも気を遣って、
まさしくJ3R!という顔立ちに仕上げられています。ルーペで見たくなる三菱のエンブレムなど、シビレますね!




荷台部分のスペースをそのまま電池ボックスとして使う仕組みになっています。
電池そのものは大きな木箱を模した部品でカムフラージュされますが、
今ならば極小の電池や金具を使って、もって目立たなくして作れそうです。
タイヤもいい感じだけど、1/24の精密ジープキットのものに換えて、
車体側面にショベルを付けたりしてディテールアップを……などと、
組み立て説明書を眺めているだけで夢が膨らみます。




サテサテ、部品がいっぱい詰まった箱をひっくり返してみると……あ〜らビックリ!
アメコミ調の楽しい絵柄で、このキットのいろいろな楽しみ方が紹介されています。

このキット、模型や実車が好きで好きでたまらない男が開発したに違いない……そんなことさえ想像してしまいます。




箱の裏のイラストをクローズアップで見てみましょう。
これなら子供たちも楽しめるし……この絵柄と内容ならば、昔を懐かしんで童心に返った大人のユーザーにも抵抗なく楽しめます。
現代の若者の目には、逆にちょっとオシャレなパッケージングセンスに見えるのではないでしょうか。

本当に愛すべきプラモデルですネ!

このコンテンツ執筆にあたっては、キットの素性調査の面で当サイトの客員学芸員、
「プラモデルの王国」の高見氏に多大なるご協力を賜りました。
この場をお借りして心よりお礼申し上げます。

(文責:TAC宮本)


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